14歳のパグの海ちゃん、2日前から食欲が無く、呼吸が荒いとのことで来院されました。
身体検査後に血液検査と胸部X線撮影を行ったところ、心臓が著しく拡大していました。
↑ 海ちゃんの胸部X線像
↑ 正常像
心臓の外側に直接接着している心外膜と繊維性壁性心膜の間の心膜腔に心嚢水が貯留していることが疑われ、心エコー検査を行ったところ、心膜腔に液体が貯留していることを表す黒色のエコーフリー領域が見られました。
この心嚢水によって心臓が圧迫され、血液を拍出する量が減少し、またそれ自体の大きさにより肺や気管が圧迫されていることも呼吸困難の原因となっていると考えました。
直ぐに海ちゃんを酸素室に入れ、その間に急いで心膜穿刺の準備をしました。治療の第一選択である心膜穿刺を右心切痕部から行うことにより肺や心臓を傷付けることなく50mLの心嚢水を吸引しました。
1時間後には呼吸の状態が良好になり起立できるようになって食餌も完食しました。
これから心嚢水を詳細に検査して原因を究明し、対処していきます。