世田谷区砧にお住まいの根岸様。いつものように愛犬ケビン君を散歩させていると、途中で80歳近いおばあさんから
「ちょっと足の先が太くなったんじゃない?先生に診てもらったほうがいいよ~。」と言われました。歩き方がゆっくりなってきたのは年のせいかと思っていたのですが、心配になり、その日のうちにご来院されました。
身体検査の後に、前肢、後肢のレントゲン撮影をすると、中手骨と中足骨に左右対称に断崖様の骨膜反応を認めました。
これらの症状と所見から、ある病気が頭に浮かび、咳をしないか伺ったところ、抱き上げた時に咳をするとのことでした。
今度は胸部のレントゲン撮影をすると、左肺前葉領域に7cm×4cm位の腫瘤が発見されました。従って肥大性肺性骨症と診断しました。
肥大性肺性骨症は胸部の肺腫瘍、慢性感染症、肺膿瘍などの慢性疾患に対して骨膜が反応します。肺の病変がどのようにして骨膜反応を起こすのかまだ解明されていませんが、最近、肺病巣に続発して、末梢の血管供給の増加が指摘されています。肺の病変が治療されると足の方も良くなります。
おばあさんの一言により、足の病変のみならず肺腫瘍があることまで発見されたのですから、おばあさん、本当にすごい
一段落して空想の世界に浸りました。
おばあさん、肺腫瘍のことまでお見通しだったのかも知れない…だとしたら魔法使いみたいだ…
あるいは、今は引退しているけれど、昭和30年代に獣医大学を卒業したベテランの女性獣医師だったかもしれないぞ…