犬も人間同様に輸血が必要なことがあります。しかし、人間のように献血システムが無く、輸血用血液の入手が極めて困難なため、必要があっても、ほとんど輸血が行えないのが現状です。
そこで、当院の院長は30年以上前から自身の愛犬の一員に代々大型犬も選び、いざ輸血が必要な時には供給犬として活躍してもらい、これまでに多くの犬の命を救ってきました。
現在のドナー犬、ブラッド ボンド君は4代目です。
ここで最近の彼の活躍をご紹介しましょう。
三鷹市のシーズー犬、キラ君の胸部にできた直径16cmの腫瘍の先端から大出血したため、緊急来院されました。
圧迫や止血材を用いて応急的な止血はできましたが、根治療法としては手術による腫瘍の摘出が必要でした。しかし高齢である上に、大量の出血によって重度の貧血に陥っていたため、高いリスクがあり、このまま手術に踏み切るにはとても危険な状態でした。
そこでボンド君の血液を充分に輸血した上で腫瘍摘出手術を行いました。
手術にはマイクロ波メスを使用したので、ほぼ無出血手術が行え、その上短時間で終了するので手術侵襲が最小限に抑えられたこともあり、一命をとりとめることができました。